80年代にはやった熱帯魚のように水槽にレイアウトされたネズミと牛の肺。ディレクターの布施英利氏が東京大学の研究室から取り出してきたサンプル。「プラスティネーション」という標本技術で制作されたもの。ホルマリンなどに漬けなくても常温で保存可能で、実際に触れる事もできる。岡崎京子のマンガに描かれた「死体」が、「死」を直接的に語りかけるものではなく描かれていた様に、90年代に生活する私達には、水槽の中の死体を見る様な「死」に対して別のリアリティ立ち上がっているのではないか。
【写真上:牛の肺、写真右:ネズミ】 ちなみにディレクターの布施氏はこれらの標本を紙袋に入れてなにげに持ち歩き、スタッフを驚かせた。