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/ OKAZAKI NIGHT / 村上隆マンガ道場

岡崎京子展オープニング「OKAZAKI NIGHT」で開催されたシンポジウムのテープ起こしです。 よく言えばノーカット未編集のデータなので文章に誤りがありますが(しかも前半部分のみ)ご了承下さい。
村上…村上隆 岡崎…岡崎京子 布施…布施英利 秋田…秋田敬明

村上 今日はPハウスプロジェクトルームのオープンでこんなにたくさんの若い人達がアートっていうかマンガっていうか、岡崎さんのファンの方がほとんどでしょうけど来ていただいて本当に嬉しく思っています。ありがとうございます。プロジェクトルームを作るに当たって私達が念頭に考えていたことというのが、1つだけあります。それは若いスタッフを育てたい、若いアーティストを東京から世界に向けて発信したい。アーティストと言っても日本では今までコマーシャルの方にどんどんとられていくばっかりで、ファインな現場っていうのは、なかなかなかったんですけど、ファインな現場を作っていきたいと思っています。この展覧会を開催するに当たっても、ほとんどがボランティアスタッフに構成されました。名前は紹介しませんが、彼らが会場設営してくれたんですよ。彼らたちに1つ拍手をお願いします。それとですね、会場もほとんど全部のプロジェクトに関わるにあたって現在70名以上の人間が動いてP-Houseを開催しています。皆さんに対してもう一度だけ拍手をお願いします

─秋田敬明氏登場─

村上 彼の自宅なんですよPハウスって

秋田 いきなりプロジェクトルームになっちゃって

村上 いかれてない方もいらっしゃると思いますが後でスライド等で会場の風景も映しだされますが、全て彼の自宅です。彼はそこで生活しています。笑ってますけど、けっこう大変なんですよこれが、そういう空間でもアートっていうか表現はできるという可能性も若い人達に見てもらいたいと思いまして、秋田敬明、男一匹ですけどよろしくお願いします

秋田 よろしくお願いします。そろそろじゃシンポの方を進行したいと思います。今回のアーティストを務めていただきました岡崎京子さんです

岡崎 よろしくお願いします

秋田 今回のディレクターを務めてくれました布施英利さんです。そして進行役は村上隆さんです

村上 よろしくお願いします。じゃまずですね今回岡崎さんの個展という事でかなりマンガの岡崎京子ワールドを知っている読者の方々は戸惑ったと思うんですけど、その辺りに関して一言お願いします

岡崎 多分「岡崎京子」個展という表示があったんで原画展だと思った方も多かったと思うんですけど、基本的のマンガというのは、布施さんのおっしゃるコンセプトでは、複製芸術っていうか原画を印刷してそれを媒体にのせるっていうものなので原画を見せるっていうのは2点ぐらいありましたけど絶対したくなかった。私は一種の素材としてどう機能するか、みたいなところが今回の目玉だとおもいましたんで。びっくりした方もいると思いますが、まぁこれは現代美術ってことでよくわかんないけどもこんなかんじでしょうか

村上 岡崎さんの展覧会をやるにあたって今回ディレクターとしてやっていただいたんですが、布施先生にの方からなにかありますか

布施 今おっしゃったことに含まれるんですけどもマンガの展覧会っていうと普通原画展っていうのがあって、それはそれでおもしろいんですけども、それとは違ったものにしようと思いまして。言ってみれば岡崎さんのマンガのエッセンスがそのまま形になるような、それはマンガの原画を壁にはっても岡崎さんのマンガのもっているパワーとかときめきとかそういったものが伝わらないと思ったのでああいった形でやろうと考えたんですけど

村上 布施先生が今回岡崎さんの展覧会をやるにあたって岡崎さんもおっしゃったようなメディアとしての展覧会であるとか、マンガとアートというメディア自体もマッキントッシュの作品とかで強く展覧されてましたよね

布施 そうですね、それでさっきマンガは複製芸術だって岡崎さんがおっしゃった事についていわせて頂くと、普通絵っていうのはゴッホの絵だと1枚120億円とかその1枚単位で勝負するんですけど、それに対してマンガは、1枚いくらじゃなくってマンガ1冊500円とか1000円とか安い値段で売ってるんですけどでもマンガの場合はそれが10万部とか100万部とかものすごい数のコピーがされて、みんなの手から手に渡って読んでそれでしかも気楽に読み捨てられているっていう、そこにいわゆる美術家の方とは違ったパワーがあって、それをだしたいなと思ったんです。具体的にいうと展覧会見てもらった人はわかると思うんですけど、マッキントッシュを使用したの作品は岡崎さんのマンガ600枚1200ページをマッキントッシュで1秒に1ページづつランダムにめくれるようにしてあります。これがまさにマンガは数というものだということを言いたかったんです。

─ビデオ上映開始─

村上 こんな感じにどんどん変わってゆくものが会場に展示されています。ページがすごくランダムになってまして、岡崎さんのマンガの「ストーリー」とか「セリフ」とかそういったものが読めなくなっています。これをずっと見てますとストーリーがばらばらになってせりふもばらばらになって最後に何が残るっかっていうと、絵がのこるんですよね。そうするとマンガのもっていた美術としての側面が立ち上がってくるんではないかと、マンガにはいろいろな側面があって文学的な面であるとか、あるいは風俗の描写とかいろいろ側面ありますけどもここではまずマンガを絵としてみるという、絵としてしか見られないよにしようというのが1つの意図です。もう1つはマンガを電子メディアというか電子テクノロジーの機会の中に組み込むことによって80年代90年代の文化の息吹みたいなものが伝われば、と。このマンガが展示されている同じ部屋には死体が展示してあって、パソコンっていうのは言ってみれば電子メディアの環境につながるもっとも典型的なものですけど、その1番対極にある死体というものを同じ部屋に置くことによって、言ってみれば都市のもっている表層と背後にある何かを抉りだせたらという意図もありました。それは岡崎さんのマンガの中でリバースエッジっていうのがあるんですが…5月20日ですか?

岡崎 6月1日発売になってしまいました。みんな私の責任です

布施 この展覧会の責任かも知れないですけど

岡崎 そんなことないです。私の責任です

布施 リバースエッジっていうマンガが今度発売されるんですけども、キュティーに連載されてましてこのマンガは岡崎作品の中でも画期的なマンガになるんじゃないかと思うんですけど。どういう話かっていうと東京にすんでいる高校生が河原で死体を見つけて、それを宝物のようにして毎日見に行くって言う話なんですけどもそれがちょうど昨年連載が始まって

岡崎 今年の2月に終わりました

布施 たまたま時を同じくして僕は「死体を探せ」という本を書いたりしている時で

岡崎 田島カンナという子が焼け死ぬんですけど、それは布施先生の「死体を探せ」の図版の燒死体から取りました

布施 あれはたしか天安門事件のつるし死体ですよね

岡崎 あれですね、あれを横において燒死体を書きました

布施 まぁ僕に限らず昨年はいろいろ死を巡った本ですとか、あるいは映画ですとか、そういったものが公開されたり、話題を読んだりして、バーチャルな都市環境の中にもう1ど「死」とか「死体」とかそういったものが立ち上がってきたのが90年代ではないかと。それが岡崎さんの最新作のもっているエッセンスではないか、そういった所を展覧会の中で形にしたかったんですよ。といっても僕がしたわけじゃなくって岡崎さんを中心として、みなさんで

岡崎 総勢70名のスタッフがいろいろにやっていただきまして

村上 1番最初になぜ岡崎さんの展覧会をやりたかって言うのが僕の中でありまして。さっき布施先生もおっしゃってましたけど、僕は岡崎さんの作品「ピンク」しか読んでなかったんですよ

岡崎 やな読者ですね(笑)

村上 すいません、それでリバースエッジをバッカーズのキキちゃんから紹介されて「ムラちゃんいいよ」って読まされて、それで僕は一気にファンになっちゃったんですよね。僕はマンガっていうのは現代における最強のメディアだっていうのが自分のなかのマッピングがあるんですけども、にもかかわらずカルチャーゾーンの中で、非常に軽い場所にしかないっていうのが不満足で…なぜか「アート」とか「現代美術」っていうものはそんなによくない作品でも「アート」って名前がつくだけでカルチャーゾーンのハイクラスにいるような錯覚に陥っているんですよ。それで布施先生に1度相談させていただいてどうでしょうかっていったら、岡崎さんと親交があるということで岡崎さんの展覧会が始まったんですね。それで展覧会自体を見ていただいた方はこの半分ぐらいしかいないと思うんで展覧会のスライドを用意してます。渋谷って町でやってることも私達は意味を感じてますので、それも含めてスライドを見てください

─スライド上映─

岡崎 これはただの渋谷じゃないですか

村上 渋谷だから渋谷なんですけども、つぎお願いします

岡崎 これもただの渋谷じゃないですか

村上 これもただの渋谷ですね、ようするに渋谷のセンター街の人達をプロジェクトルームに通う時に見るんですけど、日々ファッションも人間の目つきも変わってくるんですよね、1度面白かったのが先週コンパの季節で大学のコンパの大軍が渋谷に押し寄せていて

岡崎 新勧コンパですね

村上 みんな酔っ払ってかっこ悪い町になってましたね渋谷が

岡崎 ゲロまみれ

村上 ゲロまみれで。こうゆう感じですよね

岡崎 ハハハハッハだせー

村上 次お願いします

岡崎 あったこやき亭だ。ここ、もと壁の穴ですよね、スパゲッティー屋さんで

村上 そうですねバブルが崩壊してこうゆうたこ焼きみたいのが、はやってるみたいなのも渋谷の顔がどんどん変わっているってことですね。次お願いします

岡崎 あ、これ秋田さんの部屋だ

村上 これがPハウスの事務所なんですけど。要するに彼個人の家でやってます、このプロジェクトルームは。ですから彼はいま座る場所も無いっていうのが本当の話しですね。次お願いします。製作風景ですね、次、これは原画なんですけど

岡崎 リバースエッジの7回目の表紙ですね、単行本にするときにボツなったていう、すいません

村上 マンガの原画展自体も、さっき布施先生がおっしゃってましたけど、鳥山明展ていう川崎ミュージアムでやったときの拝観者が記録的だったんですよね

布施 6万人で入場制限とかしましたし、手塚治展15万人で普通現代美術だと考えられないって感じですよね

村上 今回もね、岡崎京子さんだということで、すごいですねお客さん。これ現代美術だと入りませんねこんなには

岡崎 そうなんですか?

村上 本当に

布施 さみしくなる位

村上 でも、結局僕は現代美術っていうジャンル自体において岡崎さんのやってらっしゃるマンガっていうのも現代美術の1つだってカテゴライズしたいっていう野心もあるんですよ

岡崎 野心と野望?

村上 野望

布施 この展覧会の現代美術との関係みたいなことで言いますと、一方でさっき渋谷の町が出てましたけども渋谷系っていう文化があって、それは今は大抵音楽ですよね、それに該当するような渋谷系のアートって言うものがもしあるとしたらそれを作りたいっていうのがあって、それがまさに今回の岡崎さんだけれども、それもただの渋谷系っいうんじゃなくて、そこにその現代美術のもっているコンセテクストと渋谷系のポップカルチャーとをミックスさせた新しい表現というか、それが今回の展覧会では可能なんじゃないか。そういった現代アートとポップカルチャーのミックスていうのは、今まで場としてはそんなに成立してなかったと思うんですけど、そういったことの始まりとなってこれが東京の新しい文化としてとして世界に向かっていけばいいなと思います。次お願いします

岡崎 これはリバースエッジの表紙用の下絵のボツ原稿ですね、いい絵だと思ったんですけどデザイナーの人からちょっとねといわれて

村上 今のボツって前の表紙の原稿ありましたよね。これもそうなんですけど、僕がアートとしてみるとすごく普遍的でなくてもいいと思うんですよ。だけれどもデザインて言うものとアートって言うものがもし違うであるならば、キャッチーかキャッチーでないかということを、考えるか否かって事だと思うんですよね。アートって言うのはそれを考えてなくてもある種いい。

岡崎 それはある。フレームとか文字組とかがあってイラストが決まるから

村上 どっちがいい悪いじゃないんですけども、僕なんかがこういう作品を見るとね、ぐーっとそそられるものをもとにして、それをかいたんですよね

岡崎 そそられるものがある

村上 次いいですか

布施 この展覧会のために岡崎さんが書いてくださったものを元にして、それを書いたんですよね

村上 ちょうどTシャツがあっちにあるんですけど後で見にいってください。ちゃんとした絵がらなんですけど。これはペインティングの文脈として岡崎先生が書いてくれた作品をシルクで黄色い画面にすったんですけど

岡崎 これトーン貼ってあったんだけどマッキントッシュでとったんだっけ?すごいね、こうゆう事ができちゃうのね

続く

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