Trials to summarize OKAZAKI KYOKO's unbind comics岡崎京子の未単行本化作品を要約する試み - 中華刑事・周 夜霧よ今夜もありがとう

中華刑事・周 夜霧よ今夜もありがとう asayan(ぶんか社) 1994年創刊2号 ※短編集「恋とはどういうものかしら?」(2003年5月 / マガジンハウス)に収録

黒の中華王・陳陳林は世界料理戦争に勝つ究極の料理の為に、美しく清らかで高貴な処女を素材にしようと、日本一の華僑令嬢を誘拐監禁し、今まさに中華包丁を振り下ろそうとしていた。そこへ現われたのは白の中華王・周富徳、即ち中華刑事・周だった。「家庭料理こそこの世で一番の高級料理!」周は、陳の手下である暗黒料理軍団を「必殺!!腐乳雪花」や「奥義!!エビのオーロラソース」で打ちのめす。そして「中華の基本はネギチャーハンにあり!」と陳をもなんとなく倒し、すがる華僑令嬢に目もくれず、夜霧に消えていく。

コミック自体が冗談なので、真面目に書くのも気が引けるのだけれど、周富徳を題材にした香港コーリング(退屈が大好き・所収)を想像してもらえば、九割九分間違ってない。必殺技が料理であったり、ネギチャーハンを食べた陳の頭が吹っ飛んだりと、いわゆるジャンプ的コミックのパロディ。批評性をどうこうと言うよりも、力の抜けた冗談として楽しんだ方が正解。