Trials to summarize OKAZAKI KYOKO's unbind comics岡崎京子の未単行本化作品を要約する試み - 恋人たち2

恋人たち2 銀座3丁目から(マガジンハウス) 1990年10月号 ※短編集「恋とはどういうものかしら?」(2003年5月 / マガジンハウス)に収録

夜と朝の間、ネオンも消える光のない、影の出来ない時間に家を抜け出す。昨日であった、名前を聞いたけど忘れてしまった男の子を部屋に残して。恋人たちのいない、墓場のような公園に来てみる。あの人とはじめてキスした公園に。たばこに火をつけ、退屈を感じる。二人の関係性において権利や義務といった言葉を持ち出す彼のコトを考える。あんなに愛していたなんてウソみたいだ。また別の夜、知り合った男の子を家に連れ込み、誰かがどこかへ(大抵はベッドの上へ)連れていってくれるのを待っている。そして目が覚めると一人。ユウウツになるほどの青空の下、ソフトクリームを舐めながらあの公園に向かう。あの人と一晩中キスしたベンチには別の恋人たちが座っていて、あの人とピクニックした芝生には家族連れがのんびりお弁当を食べていて、私はあんなに愛したあの人の顔を忘れてしまっていて。

「恋人たち」という定義のケーススタディ。たとえば、恋人たちと題された単行本があって、例えば24編の色んな恋人たちの日常が描かれていて、その内のひとつ、といった印象。内田春菊がシーラカンスロマンスに於いて「処女喪失」をテーマにそれをしていたけれど、ひとつふたつではなく、まとまった形で読んでみたい。

自分の気持ちと裏腹に(?)「忘れてしまう」彼女のモノローグに、ハルメンズの「お散歩」という曲を思い出すのだけれど、その曲よりももっとヘビィ。ちなみにその曲のボーカルを取っていたのは元ピチカートファイブの野宮真貴さん。