Trials to summarize OKAZAKI KYOKO's unbind comics岡崎京子の未単行本化作品を要約する試み - ヘルタースケルター

ヘルタースケルター FEELYOUNG(祥伝社) 1995年7月号~9月号、1995年11月号~1996年4月号 FEELYOUNG(祥伝社) 2002年8月号~2003年4月号 ※2003年4月、祥伝社より単行本刊行

このうえない美貌のタレントであり、モデルであるりりこは骨と目ん玉と爪と髪と耳とアソコ以外はつくりものだ。田舎から上京してきた彼女は事務所の社長の夢を託され、多額の投資のもと違法で特殊な整形医の手術とメンテナンスで美貌を得た。が、相次ぐ患者の自殺から、不当に高額な治療費、臓器売買の疑いから医者が捕まる。メンテナンスのできなくなった体は次第に原形をとどめないぼとに崩壊していく。テレビに映る彼女に興味を持った検事浅田は、臓器売買ブローカーを捜査中、件の整形医に辿り着く。その顧客リストからりりこに近付くことになる。被害者を増やさない為にも証言を考えて欲しい、と訪ねてきた彼の残した「昔」の写真やレポートがマスコミに流れ、一夜にして彼女のバッシングが始まる。それに対しての記者会見が開かれるが、結局彼女は壇上に現れなかった。控え室に眼球を残し、姿を消した。そして社長に託された夢である伝説となることを成就する。5年後、事務所の後輩であり、結果的にりりこを追い詰めていたモデルタレントこずえがメキシコのロケ先で覗いたフリークショーで堂々たるりりこを見つける。

繊細で、暴力的で、激しく、そして美しく一人の女の子の駄目になり方が描かれている。時折挿入される「当時を知る...の証言」的な部分も含めて、「チワワちゃん」が近しい印象を持ちうる。証言中心の回想という形ではなく、もう少しリアルタイムで本人を追っている感じ、がニュアンス的には近いと思う。ただチワワちゃんの様なセンチメンタリズムは皆無。