Trials to summarize OKAZAKI KYOKO's unbind comics岡崎京子の未単行本化作品を要約する試み - 冷蔵庫女

冷蔵庫女 CUTiE(宝島社) 1994年8月号 CUTiE comic(宝島社) 2000年3月号 ※短編集「恋とはどういうものかしら?」(2003年5月 / マガジンハウス)に収録

酒田三太はゴミ捨て場で冷蔵庫を物色していた。気に入った冷蔵庫は異様に重くて、開けてみたら中には女が入っていた。「私は成績の悪い死神で、冷蔵庫はあの世とこの世の転送装置。もう少しであのまま廃棄処分されるとこでした。ありがとう。」行くあてがない女は超絶的な舌技とフィンガーテクを持っていて、三太は家に置く事にした。一緒に暮らしはじめてしばらくしたある日、三太が帰宅すると、女が泣いていた。ポストに投げ込まれていた通販エロビデオのビラが当局からの指令で、そこには「酒田三太を今晩中にあの世に連れていけ」と書いてあると言う。結局彼女はサカタをあの世に連れていけず、ひとり冷蔵庫に入り、時計の針は0時をまわる。そして彼女は姿を消す。名前も知らなかった事、愛されつつも愛せなかった事を思う。

喪失感。手後れである事。作品の感触は「愛の生活」に近い。全ての設定や過程は読後のインプレッションの為の道具であって、話そのものは実際にはどうでもいいのではないか、と思う。